執筆者 シオリ | 8月 20, 2023 | 保護者のサポート
この記事は、SAPIX(サピックス)に通塾されている方、もしくは通塾を検討されている方に向けて書いています。
塾の特徴や対策を理解して、効率よく学習を進めましょう^^
塾の特徴 メリット・デメリット
サピックスの特徴
サピックス(S A P I X)小学部は、進学校への圧倒的な合格実績を持つ塾です。
特に御三家を中心とした上位校への合格実績は高く、2020年度の開成中学校への合格者数は、首都圏の大手人気4塾(サピックス小学部・日能研・四谷大塚・早稲田アカデミー)で見たときにも半数以上がサピックス生となっています。
その特徴を一言で表すと、綿密で濃いカリキュラムと家庭学習を大切にした復習至上主義、そして非常に頻繁なクラス替えで子供のモチベーションを保ちながら受験まで走り切るということです。
学習意欲や上昇志向が特に高いお子様には、学力を伸ばすのに最適な塾だと言えるでしょう。
サピックスのメリット
サピックス小学部へ通うメリットは、やはりなんといっても『カリキュラムについていくことで、しっかりと実力を伸ばすことができる』ということです。
中学受験のために綿密に立てられた内容の濃いカリキュラムと毎回出される多量の宿題は、それらをきちんとこなすことが出来れば、お子様が早期に確実な実力をつけられるようになっています。
サピックスの授業の進め方は、詳しくは後ほど解説しますが『復習至上主義』で、その日に授業で学んだことを授業内では勿論、家庭学習でも多量の宿題を通じて都度しっかりと身につけさせる、という方式となっています。
そのため毎回の授業・宿題をきちんとこなせていれば、基礎から応用まで盤石な実力を着実に積み上げていくことが出来るでしょう。
更にサピックスのカリキュラムは進度が早いことでも有名で、例えば特に問題演習が重要な算数に至っては、5年生頃までにはほぼ基本カリキュラムを終えて、6年生からはひたすら応用問題の繰り返し演習に入ります。
6年生の夏頃からは過去問演習が取り入れられるなど、志望校対策を時間をかけて行うことができるため、反復演習や問題慣れが重要となる受験対策としては大きな強みとなるでしょう。
最後にサピックスの大きな特徴として、細かなクラス分けと頻繁なクラス替えテストが行われますが、これもお子様によっては1つのメリットと言えます。
受験という遠い目標に向かって常に全力で走り続けるというのは、体力的にもモチベーション維持という面でも非常に困難でしょう。
そこでサピックスでは1〜2ヶ月ごとにクラスが変動するシステムを取り入れており、そこを目標に学習を行うことで常にモチベーションを保ちやすく、またテスト毎にそれまでの自分の学習進度や理解度を見える化する、という利点もあります。
このクラス替えテストについては後ほどもう少し詳しく説明しますが、特に競争意識や上昇志向が高いお子様には非常に適したシステムでしょう。
サピックスのデメリット
上記でご説明したサピックスの特徴やメリットは、お子様によっては残念ながらそのままデメリットとなることもあります。
まず密度が濃く、復習重視で立てられたサピックスのカリキュラムですが、当然これを全てきっちりとこなすとなると非常にハードな内容となっています。
現にサピックスに通うご家庭や、サピックス対策をメインとした学習指導サービスにおいても、しばしば『サピックスのカリキュラムを全て理解し、こなすことが出来るのは、上位クラスやその上位層のみ』といわれることがあります。
そのため内容を全て理解できるお子様や、もしくはある程度自身の学習レベルや志望校に合わせて内容の取捨選択が出来るお子様ならば良いですが、毎回捌き切れない分量や内容の学習を課される、というのは体力的にも精神的にも非常に負担に感じるお子様も多いでしょう。
またサピックスでは復習を重視しており家庭学習の量が多いので、それをサポートする親御さんの負担も大きくなります。
サピックスのテキストについて、こちらも詳しくは後述しますが、他塾のような本の形式ではなく『デイリーサピックス』と呼ばれる冊子を毎回配布される形式となっており、『予習ができない』『量が膨大になりファイリングや整理が大変』と言った声が多く挙がります。
また宿題用冊子の解説が簡素なことから、親が指導や解説を行うのが難しい、ということもあります。
更にサピックスのカリキュラムは量も勿論ですが、進度も非常にスピーディなので、一度つまづいてしまうと挽回が難しい、といったデメリットもあります。
日々のカリキュラムをこなすことに精一杯で、弱点補強に割く時間がなかなか取り辛く、その結果内容が進むにつれて苦手の穴が広がってしまう、ということがあるようです。
特に6年生に上がると応用問題や過去問演習がメインとなるので、基礎補強や苦手潰しといったことは家庭学習内で行っていく必要があります。
最後にサピックスの特徴でもある『頻繁なクラス替えテスト』ですが、これをプレッシャーに感じてしまうお子様も少なくありません。
お子様の性格や特性によっては、モチベーションが上がるどころか勉強自体に苦手意識を持ってしまいかねないので、しっかりと見極めていく必要があるでしょう。
またクラスが変更されることで講師や同級生といった学習の環境が変化する、ということもお子様によって大きなデメリットとなることがあります。
以上からサピックス小学部は、家庭内学習やテキストの整理、モチベーションの管理など、しっかりとご家族がお子様のサポートをしていくことが不可欠である塾と言えます。
サピックスの使用テキストと授業の流れ
サピックスでは基本的に『デイリーサピックス』と呼ばれる冊子に沿って授業が行われます。
このデイリーサピックスは、『各授業毎に今日行われる授業の範囲についてのテキスト』が配布されるようになっており、他の塾のように1冊のまとまった本の形式を取っていないという特徴があります。
サピックスではこのデイリーサピックスに沿って、『今日学ぶ範囲を授業と復習でしっかり理解を固める』、この積み重ねによって学力を盤石なものにしていくというシステムになっています。
更にデイリーサピックスの理解を固めるために、学年や教科によって『デイリーサポート』と言った演習教材や、補足用の授業プリントが用いられます。
デイリーサピックスを始めとして、サピックスで使用される教材類は全て講師やスタッフによるオリジナル教材となっていて、更に入試の問題や傾向等に合わせて絶えずアップデートを行っているそう。
加えて6年生に上がって志望校別授業が始まると、各学校の出題傾向に合わせた教材を使用するようになり、これがサピックスの各進学校への圧倒的な合格実績の大きな理由の1つとも言えるでしょう。
サピックスのテキストを使用するにあたって特に気をつけたいのが、教材や資料が膨大な量になるということです。
毎回の授業毎に配られるデイリーサピックス、その補足分となる演習教材や授業プリント、これらの配布される教材は1年分を積み上げると身長を超える量になる、とも言われている程です。
更にメインのテキストも本の形式を取っていないので、毎回きちんとファイリングする癖をつけておかなければ、後々見返すということも困難になるでしょう。
さて、以上がサピックスの使用テキストについての大まかな情報となりますが、ここで例として受験のための基礎学習に特に重要とされる5年生のカリキュラムに沿って、各教科の具体的なテキストと授業の進め方について見てみましょう。
算数
《使用教材》デイリーサピックス、デイリーサポート、基礎力トレーニング、基礎力定着テスト
サピックスの算数授業の最大の特徴は、新規単元を学ぶ『B授業』と、前週分の復習となる『A授業』が行われることです。
例えば1週目に算数Bで植木算を学ぶと、2週目の算数Bでは次の単元の場合の数を始めながらも算数Aで植木算の復習を行い、更に3週目の算数Bで小数を始めながら算数Aで場合の数の復習を行う、そのような仕組みになっています。
こうして繰り返し同単元の授業を『復習』することで記憶や理解の定着を図る、というのがサピックスならではの授業の進め方となります。
これら2つの授業は別コマとして扱われ、1コマ目は算数A、2コマ目は算数Bというように、同じ算数でも1日に2つの単元の授業が行われています。
算数の授業では、メイン教材となる『デイリーサピックス』に沿って黒板授業を進めながら、合わせて『デイリーサポート』という演習教材を使って、実際に問題を解きながら理解を固めていきます。
このデイリーサポートは授業内で全ての演習問題を解き切る訳ではなく、残りの問題は『復習』として各自が家庭学習で行うということになっています。
しかし特にデイリーサポートは解説が簡素であることで有名なため、場合に応じて家庭教師や解説動画といった外部サービスを併用するか、デイリーサピックスの方を中心に家庭学習を行うのが良いかもしれません。
更に算数では月ごとに『基礎力トレーニング』という問題集が配布されますが、こちらは計算力や基礎力を上げるための家庭学習用の教材となります。
内容は基本的に1ページに10問の問題が記載されていて、これを1日分として毎日反復して解いていく、というようになっています。
少し変わっているのが、『反復』による盤石な実力を身につけさせるために、数値を変えただけの同様の問題が数日(5年生の場合は1週間)続くということです。
同じ形式の問題を毎日繰り返し解くことで、パッと見ただけでまるで呼吸するように解ける、という計算力・基礎力をつけることが出来るようになっています。
更に10問の構成は基本的に四則演算と少し前に習った単元の問題からなっており、『復習』を重要視するサピックスらしい教材と言えるでしょう。
またサピックスの算数では、授業中に『基礎力定着テスト』や『デイリーチェック』といった、授業内容の理解度・定着度を確認するためのテストが行われます。
内容はその日やその週にデイリーサピックスで学んだことと、基礎力トレーニングで解いた問題の数値替えとなっており、問題を解く実力がしっかりとついているかをこまめに確認するために活用していくのが良いでしょう。
マンスリーテストやクラス替えテストと違って、クラスの判定には直接関係しないテストですが、範囲が狭い分自身の苦手や理解の穴を把握しやすいので、実力固めやマンスリー対策にも非常に有用なテストです。
国語
《使用教材》デイリーサピックス、言葉ナビ
国語の授業でも、算数と同様に『A授業』『B授業』の2つの授業が行われます。
国語Aでは前回の確認テストと、語句・文法・漢字などの基礎力を固めるための授業が行われ、国語Bでは長文問題や記述の練習をメインに進められます。
このように長文読解や記述回答にしっかりと時間を割いたカリキュラムとなっているので、サピックス塾生は他塾生と比べても、長い文章や問題文を読んだり、自身で文章を記述して答える、といったことに抵抗が少ないとよく言われます。
麻布や武蔵のような、非常に長い文章を読ませたり記述回答の多かったりする学校を狙っているお子様には特に適したカリキュラムでしょう。
サピックスの国語の授業では、基本的にはその日に配られる『デイリーサピックス』に沿った黒板授業が進められます。
加えて副教材として『言葉ナビ』というテキストが配布されますが、こちらはことわざや慣用句、古事成語といった、国語の問題を解くための知識・基礎力を固めるための教材となっています。
長文読解と比べてどうしても軽視しがちなこれらの基礎知識系の学習ですが、小問などで細かな得点源となることはもちろん、知識をしっかりと身につけておくことで文章の意味を素早く正しく把握できるようになるなど、国語の実力を上げるためには必要不可欠とされています。
算数の『基礎力トレーニング』と同様に、毎日少しずつ学習を進めることで、国語力を基礎から支える力を身につけることが出来るでしょう。
理科
《使用教材》デイリーサピックス、理科コアプラス
サピックスの理科は算数や国語と違ってA Bに分かれず『理科』という単一の授業となりますが、『復習』を重視するという点では同様です。
例えば小学校理科で重要な『てこ』に関する内容であれば、4年生の夏季講習でてこの基礎について学び、その後5年生の夏、5年生の冬、6年生の春と、段々と内容を難しくしながら同じ単元について繰り返しの授業が行われ、しっかりと理解を固めたところで6年生の夏季講習でその応用である『力学』として本格的に演習が始まる、このような進め方となっています。
サピックスではこれを『らせん状(スパイラル)カリキュラム』と呼んでいますが、一度学んだことが忘れかけた頃に、少し変わった視点で少し難しくなって出てくるのでまた学ぶ、このような『復習』する学習によって定着度を高めていくというのがサピックス授業の特徴です。
理科の授業についても、基本テキストは『デイリーサピックス』が毎回配布され、これに沿った板書授業が進められます。
予習はせず、授業と復習でその日に習う内容を着実に身につけていく、というサピックス式の学習方法となります。
また理科については、副教材として『コアプラス』という暗記用テキストが家庭学習用に配布されます。
内容は一問一答式の問題集となっており、赤シートを使用することで答えを隠して記憶を定着させていくというものとなっています。
理科は生物の体の作りや星の名前など暗記しなければならないことが多い教科なので、授業でもこのコアプラスの適宜指定された範囲について確認テストが行われます。
またここでもサピックスの『スパイラルカリキュラム』に則り、現在学んでいる単元より少し前の、そろそろ忘れる頃の範囲が出題されているようです。
このコアプラスは、サピックス教材の中でも塾外生が購入できるテキストとなっているので、塾生はもちろんそれ以外でも愛用しているお子様が多い優良教材となります。
社会
《使用教材》デイリーサピックス、社会コアプラス
最後にサピックスの社会ですが、こちらも理科と同様にA Bに分かれない『社会』という単一の授業が行われます。
とにかく暗記量と知識がものをいう教科なので、効率的に記憶の定着を図れるサピックスの『スパイラルカリキュラム』の効果を実感しやすい科目ともいえるでしょう。
中学受験の社会は大きく分けて3軸、地理・歴史・公民から成り立っていますが、サピックスのカリキュラムではざっくりと、4年生から5年生の前半で地理、5年生の後半から6年生の4月で歴史、6年生の5〜7月で公民を学びます。
この期間内に、例えば地理であれば4年生に習ったことを5年生で『復習』というように、繰り返し同分野に触れることで知識を定着化、着実に実力を伸ばしていく仕組みとなっています。
更に6年生の夏以降からは演習問題の実践と合わせて、これまでの全分野を基礎から繰り返し復習するような内容が盛り込まれており、特にサピックスらしい授業の進め方といえるでしょう。
社会の授業も基本テキストは『デイリーサピックス』に沿って、板書による授業が進められます。
合わせて理科と同様に『コアプラス』という暗記用副教材が配布され、一問一答方式で知識を固めていくということになります。
特に地理など過去に学んだことが次々と関連してくる単元は、家庭学習でもコアプラスの暗記はもちろん、デイリーサピックスを繰り返し読み直しておくことで記憶の定着や理解が進むことでしょう。
サピックスで行われるテストの種類と内容
サピックスで行われるテストは大きく分けて3種類、『復習のためのテスト』『クラス分けのテスト』『受験対策テスト』となります。
授業内容を復習するためのテスト
《具体的なテスト例》デイリーチェック、基礎力定着テスト
まず1つ目の復習のためのテストというのは、『デイリーチェック』や『基礎力定着テスト』など、授業内容の定着度や理解度を確認するためのテストです。
これらは授業毎や毎週といった頻度で実施され、授業中の時間を使って行われます。
内容は主に前回の授業について、また基礎力トレーニングや言葉ナビなど各自が家庭で行っている学習も科目によって含まれます。
クラス判定には影響がないので軽視するご家庭も多いですが、これらは授業や家庭学習の理解度を確かめたり抜け漏れがないかチェックするのに非常に有用なテストなので、積極的に活用していくのが良いでしょう。
具体的には、塾から帰ったらまずその日のうちにデイリーチェックを確認し、間違えた問題についてデイリーサピックスや家庭学習用教材を見直します。
後から見ても分かるように教材にチェックを入れておいたり、間違えた問題だけ抜き出したノートやコピーを作っておくことも、自分の弱点を把握したり補強するのに有用です。
これらは受験や、後述する『クラス分けのテスト』への対策としても非常に効果的でしょう。
クラス分けに影響するテスト
《具体的なテスト例》マンスリーテスト、組分けテスト
2つ目のクラス分けのテストは、大きく『マンスリーテスト』と『組分けテスト』の2種類となります。
『マンスリーテスト』は1〜2ヶ月に1回実施されるテストで、原則授業時間を使って、授業内容の定着度を確認するために行われます。
そのため内容は基本的に前回マンスリーテストから今回までに授業で行った内容と、基礎力トレーニングなど家庭学習の内容で構成されています。
つまりマンスリーテストはデイリーチェックと考え方としては全く同じで、期間がひと月分と長くなっただけ、と言えます。
しかし人間の記憶は当然時間が経つにつれて薄まるので、今日習った内容を次回授業以降、ひと月後までしっかりと覚えているか、ということが重要視されています。
よってマンスリーテストの対策は、デイリーチェックなどで都度身についていない部分をチェックして潰しておき、例えば1週間などこまめに『復習』する癖をつけておいて、最後にテスト前にチェック部分を確認しておくのが良いでしょう。
一方、『組分けテスト』については明確なテスト範囲がない実力テストで、年に3回(1月・3月・7月)、日曜日や祝日などを使って実施されます。
マンスリーテストと違ってクラスの昇降範囲に制限がないので、サピックス塾生の中でも特に重要視されているテストですね。
クラス分けに影響が大きい&実力勝負ということで、負担に感じたり苦手意識を持つお子様も多いようです。
しかしここで注目したいのがテストの配点比率で、学年によって差異はあるものの、基礎力トレーニングのような反復家庭学習や基本問題レベルの問題と、毎回のデイリーサピックスで学ぶ内容の類題だけで、配点の約75〜85%程度を占めており、いわゆる応用問題というのは残りの20%程度に留まるということです。
特に基礎力トレーニングレベルの配点比率は大きく、全問題の半分から6割程がこの基礎レベルで構成されているので、組分けテストの対策についても、日々の家庭学習や毎回の授業の復習が特に重要といえるでしょう。
受験対策用のテスト(公開模試)
《具体的なテスト例》実力診断サピックスオープン、志望校診断サピックスオープン、志望校判定サピックスオープン、合格力判定サピックスオープン、学校別サピックスオープン
さて、最後にサピックスでは、お子様の現在の学力・偏差値を知ったり、志望校判定、合格率測定などを行う『受験対策テスト』が、公開模試という形でいくつか実施されています。
まず最も低学年から受けることができるのが『実力診断サピックスオープン』で、こちらは小学3年生・4年生・5年生を対象に年1回ペースで行われています。
思考力・論理力を中心に総合的な現在の学力を試し、実力の傾向やこれからの学習に役立てることを目的とした公開模試なので、機会があれば早めに一度受験しておくのも良いでしょう。
受験を本格的に意識し始める小学5年生からは、上記の実力診断サピックスオープンに加えて『志望校診断サピックスオープン』を受けられるようになります。
こちらは5年生の夏と秋の2回実施される公開模試で、お子様の問題への適性をより具体的に診断するために行われます。
中学入試の問題は大きく『基礎力・問題処理能力』を重視する問題と『思考力・記述力』を重視する問題の2パターンに分けられますが、お子様がどのような問題が得意で、どのような問題が苦手なのか、その適性を測るための模試となります。
診断結果からより狙いやすい志望校を定めたり、本格的に受験のスタートを切るのに最適な公開模試と言えるでしょう。
受験まで1年を切った小学6年生の春には、上記の志望校診断サピックスオープンからより精度を高めて、志望校への適性や合格率を測定できる『志望校判定サピックスオープン』が2回実施されます。
また年間を通して4回実施される『合格力判定サピックスオープン』では、予め指定した10校についての合格率を測定したり、受験さながらの環境で公開模試を受けることで受験慣れや、時間配分などの訓練にもなります。
更に各中学校の入試問題の内容や傾向に合わせて作成された『学校別サピックスオープン』は、より精度の高い適正判断や合格率の測定ができる他、受験本番の予行演習としても最適な公開模試でしょう。
サピックスのクラス分けについて
さて、上記まででも何度か言及してきた通り、サピックス小学部では『細かなクラス分け』と『頻繁なクラス変更』が塾の大きな特徴となっています。
クラスの数は学年や校舎によって異なりますが、全校舎に共通して大きく『αクラス』と『アルファベットクラス』に分かれています。
『αクラス』というのはいわゆる上位クラスのことで、サピックスで最上位のクラスはα1、その下にα2、α3と続き、規模の大きな校舎ではα6まで設置されています。
そしてαクラスの下に『アルファベットクラス』となりますが、こちらは下位からA、B、Cとアルファベット順に上がっていく構成になっています。
規模の大きな校舎ではQやRまで、アルファベットクラスだけで20クラス以上にも細かくクラス分けがされています。
例)《上位》α1、α2、α3、G、F、E、D、C、B、A《下位》
サピックスの特徴として少人数制ということもあり、先生1人に対して生徒の数は20人以下程度、そのためクラスも細かく分かれており、クラス間での学力差はかなり白中しています。
また頻繁に行われるクラス変更のためのテスト、特にマンスリーテストではクラス変動幅は定められているものの(大規模校舎で±5、小規模校舎では±1など)、1〜2ヶ月に1回という頻度で実施されるので、お子様にとってもクラスが変わることは日常茶飯事となります。
頻繁なクラス替えの制度はお子様にとってはストレスや負担に感じることもありますが、一方で『クラスが下がらないように』『αクラスに上がれるように』と具体的な目標を短期的に持って学習を行うことができるので、受験まで勉強のモチベーションが続きやすい、というメリットもあります。
またサピックスでは特に難関校の受験向けに、小学6年生の夏休み以降は『サンデーサピックス(通称S S)』という特別授業が始まります。
こちらのS Sはその名の通り日曜日に実施され、算数や国語など科目を2つ選んで受講する『単科講座』と、受験予定の学校別にカリキュラムが組まれた『志望校別特訓』の2種類の講座を、合わせて1日かけて学習することになります。
そのため普段のクラスとは別に志望校別のクラスに在籍することになりますが、自分の志望校の講座がいつもの校舎で開講されているとは限らないので、場合によっては日曜日のみ他校舎へ通う必要がある点に注意しましょう。
また原則として希望に沿ってはくれますが、お子様の偏差値と志望校の合格偏差基準値にかなり大きな隔たりがある場合は、希望の志望校クラスに入れないことがある、ということも念頭に置いておきましょう。
最後に
サピックス小学部は、綿密なカリキュラムと徹底した復習主義で、他の追随を許さない圧倒的な合格実績を持つ進学塾です。
どうしても入学したい志望校があるお子様、どんどん難しい事を学びたいお子様にはぴったりの塾ですが、一方で授業はそのようなお子様に合わせたハイペースな進度となっているので、勉強があまり好きでないお子様には負担に感じることが多いということも事実なようです。
ここで『偏差値30−50の場合にサピックスで成績アップする方法』についてですが、やはり最も大切なことは『基礎』と『復習』となります。
サピックスに通っているとハイペースな授業と膨大な課題に日々追われることになるので、理解していること・身についていないことがゴチャゴチャに混在してしまいがちです。
そこでまずは基本教材の『デイリーサピックス』について、特に星2つ以下の基本的な演習問題までは毎日復習して着実に身につけていく癖をつけましょう。
その際『デイリーチェック』などの授業中の復習テストと合わせると、自分の理解できていない部分が分かりやすくなります。
加えて毎日の『基礎力トレーニング』をきちんと理解出来るまで続けること、この『授業の復習』と『基礎力固め』だけでも、前述したように『マンスリーテスト』はもちろん『組分けテスト』でも8割前後は解けるようになるはずです。
焦って応用問題まで何から何まで手をつけようとせずに、まずは着実に足元を固め、少しずつクラスを上げていくことでお子様のモチベーションupにも繋がるでしょう。
執筆者 シオリ | 8月 11, 2022 | 保護者のサポート
今回は、小4女子のお母さんの
夏休みには自分から勉強をするようになってほしい。
というケースをご紹介します。
「現状はというと、
仕方なくやっているように見えるんですよね。
決められたものはやっているようですが、
それも自ら楽しそうにやってほしくて。
毎日の積み重ねが大事だということを、
自分で気づいてもらいたいです。
そのためには楽しい仕組みを一緒に考えたり、
少し先のことを親子で話す機会を作れたら
いいんじゃないかと思ったんですが…。」
そうですね。
自ら勉強の大事さに気づいて、
自分からどんどん勉強してくれたら
理想的ですよね。
そして、みんながみんな
その理想的な状況という訳ではないということもまた、
悩ましい事実ですよね(笑)
さて、これについての回答をしますね。
まず、楽しい仕組みを話し合って作れるなら、
それはどんどん作られるとよいですね。
次に、お子さん達にとって
先のことというのは見えにくいものです。
どれくらい先のことが考えられるかというのは
お子さんにもよりますが、
受験生でも、受験生であるという自覚が芽生えるのは
入試の数ヶ月前だと言われたりもします。
ですので、
お子さんの性格タイプや状況に合わせて
1日ごとや1週間ごとなどで
こまめにチェックしてあげると良いです。
チェックして承認してあげると、
やっているなという感覚や、
成果につながっているという感覚を持ちやすいです。
その結果、
モチベーションも保ちやすいです。
そしてチェックの方法は、
例えば毎日帰ってきた後に
・お子さんがお母さんに説明する
・理解度に合わせてつけた印を確認する
・お母さんがクイズを出す
・お子さんがクイズを出す
など。
クイズに、お母さん答えられなかったわ~!!
みたいに、お母さんが楽しく関わってあげるのが
よいお子さんもいらっしゃいます。
そしてお母さんに教えてあげる!
と張り切ってくれるお子さんもいらっしゃいます。
短いスパンで、
わかった!
↓
できた!
↓
明日も頑張ろう!
という サイクルを作ると、
長い夏休みの勉強にも
メリハリがつきやすいです。
また、塾のテストや模試が普段よりも
週1~2回などの細かいペースであるなら、
塾のテストや模試を
ペースメーカーにしていくのも良いですね
このように少しでも
達成感を得られたり、
楽しかったり、
見てもらえている実感が得られたり…
ということを繰り返していくと、
その先に、自分から勉強したい!
という意欲がわいてきます。
色々な回でお話していますが、
やる気になるからできるのではなく、
できるからやる気になるのです。